さて、前に進む決断をしたはいいが
果たしてどこまで進めるのか…
不安いっぱいの中盤。
A3からA5までは3つのスキー場をめぐる
ゲレンデ巡りの中編です。
▼前編はこちら
A3-A4(59㎞)
いったん泣いたらすっきりした。
こんなくだらない励ましも(普段なら絶対イラっとするやつw)
どんよりした心を晴らしてくれた。
よし、とりあえず次のエイドまで行こう。
A3からはしばらく林道をくだる
傾斜はなだらかでゆっくりではあるものの走ることができた。
5㎞ほど進み、尾瀬岩鞍のスキー場へ。
ゲレンデののぼりは得意。
ポジションを意識して、もくもくと足を前に進める。
ここで10人ほど抜いて、徐々に調子が上がってきた。
相変わらず急すぎるくだりには文句が止まらなかったが
昨年はかなり難儀した直登もあっというまにやっつけ
20時頃、A4に到着。
あれ、意外と時間あるじゃん。
A4では奥宮選手が出迎えてくれた。
選手1人1人にハイタッチをしながら、よく来たね!と温かい言葉をかけてくださる。
快く撮影にも応じてくれて、とっても元気をもらった。
そういえば、昨年も撮ってもらったんだった。
こうやってみると、この1年の成長がうかがえる(顔ぱんぱんなんですけど…)
A3で別れた仲間たちもぞくぞくとA4にやってきた。
よしよし、みんないい調子!
…と思っていたら、ここでFさんとSさんがリタイアを宣言。
調子が思わしくなく、これ以上進むのは難しいとのこと。
「2人の分までがんばって前に進まなければ…」
いらない使命感が私をふるいたたせた。
よし、いけるところまでいってやろう。
あわよくば、ゴールまで。
Fさんとがっちり握手をかわして、A4を後にした。
A4-A5(75㎞)
A3からは昨年と同じコースをたどる。
コースレイアウトはばっちり頭に入っていた。
夜間に入って気温が下がったのと視界が狭まり集中できたのがよかったのかもしれない。
ゾーンに入ることができた。
W2には予定通りの約2時間で到着。
走れるところは走った昨年と同じペース。
一時は20分しかなかった関門までの時間も
ここでは2時間近くまで余裕ができていた。
あれ…?これ、いけるんじゃね?
ようやく気持ちが前向きになってきた。
129㎞というとほうもない距離も
結局は目の前の小さな一歩の積み重ね。
1歩1歩に集中して、足を前に出し続ければ
そのうちゴールにはたどり着ける。
そんな当たり前のことにいまさら気づいた。
…このままパワーウォークで進んだら、時間内にゴールできるかもしれない!
名付けて「パワーウォーク作戦」スタート。
とにかく、リズムよく、ポジションを意識して前へ。
ジョグよりもはやいペースで、歩く。
走っていないのに、順位は少しずつ上がっていた。
A5には0時すぎに到着。
ここも昨年と同じペース、W2から約2時間だった。
復活
A5は、野戦病院と化していた。
みんな、つらいのは同じなんだ。気持ちがふっと楽になる。
ドロップバックを受け取り、ひとまずどろんこになった靴と靴下を履き替える。
預けておいたサポーターを装着し、ポールを組み立てる。
それだけでなんだか最強になった気がした。
75㎞にして、ようやく復活。
昨年出会った120の選手の言葉が浮かんだ。
「ロングレースは一回だめになっても、途中で復活するからおもしろいんですよね。笑」
そのときは全然意味がわからなかったし
この人、頭おかしいんじゃないかと思ってたけど
ようやく意味がわかるようになってきた。
そう、あきらめずに我慢すれば、復活する。
お腹いっぱいカレーを補給し
もたもたしている眠そうな相方をたたき起こして
いざ、後半戦へ。
ここで腹をくくったのを覚えている。
「絶対に、ゴールまでたどりついてやる」
残り50㎞。
ここから怒涛の追い上げがはじまる。
▼後編につづく