さて、ポールを手に入れてパワーアップしたA5。
ゴールまで残り約50㎞・・・
ここから相方の様子がおかしくなってきます。
はじめての方はぜひ前編からごらんください。
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A5-A6(85㎞)
エイドを出る直前にやっぱりトイレに行きたいという相方・・・
あぁはじまった。
まだ走る元気があるだろうから、と置いていく。
先行きが不安な後半戦。
A6まではロードのくだりと林道ののぼりが半分ずつ。
ポールはやっぱり最強でした。
得意ののぼりでどんどん抜いていく。
これはやっぱり行ける!進むほどに確信が強くなった。
林道ののぼりに差し掛かったあたりで相方も合流。
調子よくぐんぐん進んでいく。
大丈夫かなぁ・・・
こうやって調子乗ってるときは、あとから大幅にペースダウンするのがいつものこと。
案の定、3㎞ほどのぼったところではじまった。
「つかれた・・・」
あたりまえじゃ。
なんでこう、男子って一定のペースで進めないのだろうか。
「眠い・・・」
しらんがな。
膝が痛いとぶーたれてたときにさんざん無視されたので
同じように無視してもくもくと進む。
しばらく行くとエイドが見えてきた。
A6には3時30分前に到着。
関門まではまだ2時間ほどある。
このペースでいけば、ゴールできる。
(あとは相方の眠気次第・・・)
A6-A7(107㎞)
エイドではもりもり食べた。
走っていないからか、胃腸のダメージはゼロ。
いつもロングでは後半疲れて固形物が食べられなくなるが
この日はとにかくたくさん食べた。
おかゆ2杯、コーヒー、チーズ、ジェル。
エネルギーを切らすことなく補給できたのは大きい。
止まると体が冷えるので、眠そうな相方をまたもやたたき起こして先に進む。
A6からW3までは長かった。
林道を6㎞ほどくだり、ロードを5㎞ほどのぼる。
この単調な10㎞が途方もなく長かった。
眠気はあまりなかったが、このあたりから幻覚が見え始めた。
人が恋しかったのか、工事の看板が人に見えたり
横になって眠りたかったのか、家がたくさん見えた。笑
膝が痛くなければ余裕で走れるロードのくだりも
我慢してパワーウォークを続け
7時30分ごろ、W3に到着。
W3にはA4で別れたFさんが応援にかけつけてくれた。
「Fさんの分もがんばってゴールしよう」
休憩もそこそこにA7を目指す。
ご丁寧に急登、急降を再度繰り返し、9時過ぎにA7到着。
ここが最後のカットオフポイント。
関門まではまだ1時間30分ほどある。
ここまできたら、もう大丈夫。
A7-W5(124㎞)
ゴールを確信したわたしは、無双モードに入った。
林道ののぼりをテンション高くぐんぐんのぼっていく。
抜きつ抜かれつだったおじさまたちも大きく引き離す。
相方いわく、のぼりで足を出す数が圧倒的に違うらしい。
そうそう、リズムが大事。
W4までは1時間かからなかった。
一方で相方はというと・・・
でた。
あー…いつものおねむなやつ。
A6あたりまで調子よくのぼってたのに
W3を過ぎたあたりからのぼりになるといなくなる。
気づくとふらふらとずっと後ろを歩いている。
A7以降は特に顕著だった。
「ねむい・・・」
「ちょっと寝ていい?」
何度か無視してみたが
どうしようもなさそうなので残り13㎞のところでいったん仮眠。
(レース前、大きないびきかいて気持ちよく寝てただろーが!)
道端で体育座りをして眠りこける相方が
このときばかりはとてもにくたらしかった。笑
「あんたたち、あんまりゆっくりしてるとゴール間に合わないよ」
誘導のおじさんたちが心配してくれた。
うん、知ってる。
「はよ。怒」
5分で相方をたたき起こし、先を急ぐ。
W5までは残り8㎞。
そこまでいけば、ゴールはすぐそこ。少しスピードをあげた。
W5には13時すぎに到着した。
W5-ゴール(129㎞)
さいごののぼりをのぼり切ると、川場の街が見えた。
やっと、帰ってきた。
ゴールしたらどんな気持ちになるんだろう。
129㎞というとほうもない距離と
獲得標高9200mという想像もつかない過酷な道のりに
スタート前はゴールする瞬間どんな感情になるのかまったく想像できなかった。
残り1㎞。
このとき素直に思ったことは
応援してくれた仲間、一緒に練習してくれた仲間
そして一緒に歩いてきてくれた相方への感謝の気持ちだった。
ただただ、ありがとう。それに尽きた。
いろんな感情を乗り越えて
痛みや眠気と闘いながら進んできた129㎞の道のり。
想像していた何倍も過酷だったけど
途中でやめたいって100回くらい思ったけど
今回ほど1人で戦っているわけじゃない、と思えたレースはない。
こうして33時間と38分の長い旅は終わりました。
たくさんの方の力を借りて
なんとかゴールまでたどり着くことができました。
途中でやめなくて、本当によかった。
道中声をかけてくれたみなさん
一緒に走ったチームの仲間、夜中まで応援してくれたチームのみなさん
本当にありがとうございました。
そして、しがない1人の亀さんランナーの珍道中にお付き合いいただいた
読者のみなさまもありがとうございます。
100マイラーに向けてまた一歩階段をのぼりました。
次は来年のUTMFにむけて始動します!