さて、ちまたはハセツネで盛り上がっておりますが
武尊の振り返り最終回です!
残り30㎞、無事ゴールにたどりつけるのか…
では、波乱万丈の後編スタートです。
▼前編はこちら(スタート~A3武尊牧場)
▼中編はこちら(A3武尊牧場~A5オグナほたかスキー場)
A5オグナほたかスキー場ーA6赤倉林道分岐
さて、エイドでたらふく補給しておなかいっぱいになり
意気揚々とナイトパートのスタート!
といきたいところでしたが・・・
ここで地味にトラブル発生。
見た目はそれなりに元気だったんだが足の裏に大量のマメが・・・
(汚い画像すみません)
両側の小指が巨大なマメで死亡。
ゲレンデの急降下により人差し指の爪が2本とも死亡。
原因は田んぼのような武尊山からの下りでした。
水たまりを避けての大渋滞にしびれをきらし
エイヤーと泥沼に突っ込み続けたのがここにきてあだとなり
地味に痛い。だいぶ痛い。
靴に入っていた小石がずっと当たっていたみたい。
「ちょっと走るのきついかも・・・」
ここにきて弱気発言。
できるだけネガティブワードは口にしないように気をつけてましたが(ほえるのは〇)
さすがに痛すぎた。
そんなトラブルによりA5~A6はほぼ歩き。
コースとしては最初少しだけのぼって、
トレイルで下り、ロードで2~3㎞くだり
赤倉林道に入ってからはゆるい林道ののぼりなので
元気があればかなり走れる、比較的ゆるい区間。
脚は残っていたのでマメの痛みにより走れないのはきつかった。
20時45分、A6赤倉林道分岐に到着。
ここでは温かいスープとジェルを2本補給。
スタートから約15時間、
さすがに疲れてきて食べる元気がなくなりかけていたけど
幸いにも胃腸は元気だったので無理にでも食べる。
止まるとかなり寒かったので、温かいスープが身に沁みました。
A6赤倉林道分岐~フィニッシュ
最後の区間は昼間ならとっても素敵だろうと思われるふかふかの極上トレイル。
前半のえぐいのぼりくだりとは違って
ゆるいアップダウンが続きます。
夜間なので周囲数メートルしか視界がないのがもったいないくらい。
このあたりからなぜか元気が復活。
カフェインのジェルを投入したからでしょうか。
通称「無双モード」と呼んでいる、ポールを使ったパワーウォークで
休憩もとらずゴールまで延々進み続けた。
だんだんペースも上がっていたようで
気づいたら後ろについていたバディがいない!?なんてことも。
このあたりからバディは「眠い・・・」を連発。
かなり序盤でカフェイン入りのマグオンレモン味を投入したの、知ってるよ。
カフェイン入りは夜に使おうねw
スピードは彼のが断然速いけど、夜間の強さは私のが上だなぁ。
途中なにか動物の遠吠えらしき声が聞こえて、焦ってスピード上げたのは内緒。
ラスト10kmくらいからは野生モードに入って
自然と一体化して、なんだかすごく楽しかったなぁ。
マメの痛みもいつの間にかどこかに消え
気づけば完全にゾーンに入っていた。無敵モード。
無心になって、自分が最強だと思える瞬間がくる
だから夜間走って楽しい。
残り13km地点、時刻はちょうど23時。
「もしかしたら、20時間切れるかも」
ひそかに目標としていた20時間。
残り13㎞を3時間で進めば、達成できる計算。
最初のエイドで大幅なビハインドが出たので正直あきらめていたけど
できるならもう一度ここからチャレンジしてみよう。
最後の力を振り絞って走りだした。
実際、走る、なんて口が裂けても言えないスピードだったけど
歩き走り、早歩き。
残り5㎞のウォーターステーションは補給もせずに通過。
0時50分。あと70分で5km。
ぎりぎりの状況は変わらないけど、信じて進むのみ。
最後のピーク、雨乞山からは下界の明かりが見えた。
やっと帰ってきた。長い長い旅がもうじき終わる。
うれしいような、ほっとしたような、さみしいような、
ロングレースのこの何とも言えない感情が、好きだ。
残り2kmの看板が見えたとき、時刻は1時42分だった。
あと18分。大丈夫、いける。
そう思った瞬間、突然なにかのスイッチが入ったかのように
体がふっと軽くなった。
このままあと何キロでも走れるような、
そんな不思議な感覚で、ぐんぐんスピードを上げた。
時計を見たらキロ6分30秒だった。
橋を渡り切れば、ゴールはすぐそこ。
「やったよー」「うれしいなぁ」
100回くらいそう叫んで
ゴールをくぐった。
1時56分。19時間56分40秒でフィニッシュ。
20時間、切れた。
自分に負けなかった。
ぜんぜん早くないけど、亀だけど、
最後まで粘り強く、進むことをやめなかった。
それだけは、誇れること。
あきらめなければ、夢はかなうんだ。
振り返り
今回できたことは
レース全体を通じて復活を待って粘れたこと。
ドラマチックなフィニッシュができたのも
自分の可能性を信じて、最後まであきらめずにがんばれたから。
途中120の選手が
「途中だめでも復活するからおもしろいんですよね」って言ってた。
そうやってダメなときもいいときもありのままの自分を受け入れる
いろんなトラブルを経験して、乗り越えて、
ひとまわり大きくて強い自分に生まれ変わる。
それがロングレースの醍醐味かも。
「楽しかった」
そう胸をはって言えるレースができたことは、今回の収穫。
チームではいつも安定の最後尾だけど
あきらめない心、自分に負けない心、自分はやればできるんだって自信は
チームで一番でありたい。
そういう姿勢を見せることで、ほかの亀さんランナーの希望でありたい。
と、最近思う。
長くなりましたが、レースレポートはこれにて終了。
上州武尊山スカイビュートレイル、とってもいい大会です。
次は120にチャレンジしに戻ってくるからね!